私は社長に、「命懸けの会社経営」をさせません。最初にこう宣言するのは、ある光景が頭にこびりついているからです。
鹿沼市の建設業の社長が50歳で亡くなり、葬儀に駆けつけたあの日――。
葬儀場に着き、線香を上げに祭壇に進んだ私に、遺族席のお子さん2人の「お前のせいだ」という目が私に突き刺さりました。私は思わず目を背けてしまったものの、つらくて申し訳なくて、以来忘れることができません。
私は社長が亡くなる数カ月前に顧問になり、1000万円の資金調達のお手伝いをしました。年商5000万円ほどの会社でしたから、1000万円は小さな金額ではありません。うまく行きそうだと社長から喜びの電話をいただいたのですが、そのあと銀行に何があったのか、突然白紙になってしまったのです。
その直後、社長の奥様から「夫が見当たらない」と電話がかかってきたのはクリスマスイブの夜です。いやな予感が胸いっぱいに広がりました。そしてその翌日朝、自ら命を絶った社長の姿が発見されました。
「俺は生命保険に入っているから、何かあればこれを使えば大丈夫だ」と笑いながら言っていた顔が、今でも記憶に残っています。社長は、「会社経営に命を懸けて」しまったのです。
一方で、年商100億円、借入50億円の建設業が不渡りを出した日にその社長に紹介されたことがあります。社長は「銀行に裏切られた」と釈明するのですが、私が見た限りではもともと融資は難しかっただろうと思う案件でした。
しかし、こちらの社長は50億円という天文学的な負債を背負っているにもかかわらず、それにまったく動じることはなかったのです。その結果、最終的に弁護士を紹介し、その会社は民事再生でやり直すことができました。
1000万円の負債で命を絶った社長と50億円の負債でも動じずやり直せた社長を見て、私は声を大にして言いたいのです。「命懸けの会社経営をしてはいけない」と。
会社経営では、良い時もあれば悪い時もあります。時に、一生かけても返せないような負債を背負ってしまうこともあるのも会社経営です。しかし、そんな状況であっても必ず道はあります。会社経営に命を懸ける必要はないのです。
社長の仕事は重い。孤軍奮闘する社長を徹底的にサポートし、会社経営で命を絶つ社長をゼロする。そんな思いで私はこの仕事を続けています。
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